2019.06.29

【21歳の冬】グアテマラで人生ではじめて拳銃強盗にあったときの話をしよう

 

そう、あれは少し肌寒い12月のある日の午前7時頃の出来事だった。

 

これは、俺がまだ21歳で、大学を休学して中南米を1年間旅していたときの話だ。

 

 

・・・・・

 

 

グアテマラのアンティグアという街でスペイン語学校に通い始めて3週間が経とうとしていた。

これから始まる南米旅に備えて、「少しでもスペイン語を話せるようになりたい」と思い、現地の語学学校に通うことを決めたのだ。

 

短期間でスペイン語が上達するようにと、勇気を振り絞ってホームステイに挑戦していた。

 

ホームステイ先から学校までは徒歩10分程の距離。

 

いつものように、ホームステイ先で、「今日も寒いね」なんて数少ないボキャブラリーでホストマザーと話をしながら朝食をとり、洗濯を少しだけ手伝ってから、学校に行くために家を出た。

 

ホームステイ先は、街の路地裏をさらに奥に入った所にあった。

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「中米」というと、治安が悪いということでも有名だったが、それまでの旅で危険な目にあったこともなく、学校までの道はそれなりに広くて人通りもあったため、自分が事件に巻き込まれることなんて想像もしていなかった。

 

さらに、3週間という滞在期間は、旅という緊張から私を開放し、日常生活を感じさせるのに十分な時間だった。

 

この油断が今回の出来事を招いたのだろう。

 

少しだけ肌寒いがカラッとした気候、歩き慣れた道、いつもすれ違う人たち。

 

いつもとなにも変わらない朝。

 

いつものにように私の両耳にはどこで買ったのかもわからないような安っぽい黒いイヤホンがささっていた。

 

流れているのはYUKIの『歓びの種』。

 

学校につくまでの10分はリフレッシュに日本の歌を聴くことが多かったのだ。

 

軽快なリズムと聞き慣れた言語に、自然と唇から音が漏れた。

 

「毒!入り!のリンゴうぉぉぉ~を、食べてっしまえば、ステー!ジ!のうえ!から落ちちゃうわああぁあ~、むすび~なおしてねえええ~、、トゥトゥトゥン♪」

 

「見逃~してしまうぅぅ~、よろこ~びの~たねうぉおお~♪」

 

日本語が分かる人なんて周りにいない環境が私に盛大に熱唱させた。

 

そんな時だ。

 

ブゥオオーン。

 

目の前でバイクに乗った革ジャンの2人組が突然現れた。

 

そして、私の目前に立ちはだかり、厳しい表情で何かを喋りかけているようだ。

 

いつもの日常にこんなことはない。

 

片耳のイヤホンを外すと、音が飛び込んできた。

 

「iPhoneとカバンを置いていけ!」

 

片耳ではYUIが喜びの種が聞こえ、片耳ではなんとも物騒な言葉が飛び込んできたではないか。

 

なにより驚いたのは、普段だったらスペイン語のリスニングなんてほとんどできないのに、何を言っているかが分かるではないか。

 

こんな時にかぎって3週間の語学留学の成果を実感する瞬間だった。

 

しかし、そんな歓びを感じる暇もなく、なにが起きたのかわからず放心していた。

 

すると、バイクを運転していた男の一人が、おもむろに革ジャンの内側ポケットに手を突っ込み、黒光した重厚な”なにか”をチラつかせてくるではないか。

 

「なにが喜びの種だ!見逃してしまうどころか、こっちが見逃してほしいわ!!」

 

無駄にYUKIを呪った。

 

「iPhoneとカバンを置いていく」 or 「逃げる」

 

グアテマラのアンティグアという見知らぬ街で、とんでもない選択を迫られていた。

 

1.5秒くらい悩んでいると、たまたま私の横をバスが通りすぎた。

 

グアテマラの市バスは、いつでも人が乗り降りできるように、入り口のドアはいつでもフルオープンだった。

 

気がつくと私は走り出していた。

 

即座にバスを追いかけ、水族館でイルカが輪っかをくぐるように、入り口めがけて飛び込んだのだ。

 

その場に水族館の館長がいたら、すぐに私をスターに起用しただろう。

 

バスの入り口に吸い込ませれるように、私の身体はバスの車内を転げ回った。それはもう盛大にだ。

 

乗客たちは、朝からなにかが飛び込んできたことに驚きを隠せない様子だった。

 

私は何事もなかったかのように立ち上がり、バスの運転者に微笑みかける。社内から後ろを振り返り、バイクの2人組が追いかけて来ていないことを確認した。

 

心臓が張り裂けそうだった。

 

乗客に怪訝な目で見られながらも、バスの手すりに捕まり、冷静に今起きた出来事を整理していた。 

 

そうだ、あれは拳銃強盗だった。

 

足はガクガクと震えていた。

 

ふと、もう少しで強盗の手元に渡っていたiPhoneで時間を確認すると、スペイン語の授業が始める時間を指していた。

 

張り裂けそうなほどに太鼓をたたく心臓と、いまにでも崩れ落ちそうな足を踏ん張りながら、

 

「これは遅刻だな。」

 

と、小さくつぶやく。

 

しばらくバスの行き先に身を任せて走っていると、どうやら循環バスだったようで、通っていたスペイン語学校の近くを通りかかった。

 

結果的に、30分ほどの遅刻だった。

 

学校の扉を開くと、私の先生 (子持ち女性) と目が合う。そして、少し怒った目で私にこう言い放ったのだ。

 

「今日はなんで遅刻したの?理由を説明しなさい!」

 

私は、少しだけ恥ずかしそうにこう答えた。

 

「ちょっと寝坊しちゃったよ、ははは」

 

嘘だった。

 

男という生き物は、いつだってかっこつけたいのだ。

 

以上

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